大判例

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福岡高等裁判所 昭和23年(ラ)13号 決定

【主文】

原審判を取消す。

本件を玉名家事審判所に差戻す。

【理由】

(前略)よつて民法第九百十五條について檢討する。同條にいわゆる『相續人が自己のために相續の開始があつたことを知つた時』とは、相續人が相續開始の原因である被相續人の死亡の事實を知るだけでなく、更にこれがために自己が相續人となつたことを知つた時を意味し、法律の不知又は事實の誤認等のため自己が相續人となつたことを知らない間は、相續人はまだ自己のために相續の開始があつたことを知らないものといわなければならないから、同條所定の期間はその進行を始めないものと解しなければならない。記録によれば、本件相續放棄の申述書中に、家事審判規則第百十四條第二項第三號の『相當續の開始があつたことを知つた年月日』として『民法の改正らなかつたので、昭和二十三年七月一日に相續税を納付するを知り、初めて自己のために相續の開始があつたことを知るに至つた、』旨の記載があり、このように自己が相續人となつたことを知らなかつた旨の事實上の主張のある場合においては、その事實の有無を審究判斷しなければならないのである。原審判所が思いをこゝにいたし、職權探知の手續として、必要な事實の調査及び證據調をしたりすれば、あるいは本件申述書を受理したやもはかり知れないのである。しかるにこの點を看過し漫然本件申述を却下した原審判は到底違法のそしりをまぬかれない。(後略)

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